アガベ・ビルギニカ(Agave virginica:キジカクシ科アガベ属)が咲いています。
花茎の先のとんがっているのは托葉で、蕾はまだ見えません。
托葉から蕾が出てきました。
ヘチマのような蕾の先端が浅く6裂して、まず
雄しべが出現します。
黄色い葯が顔を出しています。その周囲に花糸が
たたみ込まれています。
葯とたたまれていた花糸が延びる様子です。
雌しべが成熟すると先が3つになります。
マンフレダ・ビルギニカ(Manfreda virginica:キジカクシ科マンフレダ属)という名でNARGS(北米野草協会)で手に入れた種子からです。
マンフレダは、かつての夜来香(イエライシャン)で知られる根茎を持つポリアンテス(Polianthes)属や球根状の根茎を持つプロクンヤンテス(Prochnyanthes)と同様に、系統研究によりリュウゼツラン(竜舌蘭:Agave)属に分類されるようになりました。
しかし形態的には草本で根元が球根状(コーデックスを形成)であるということで古典的なアガベと区別されます。
種小名ビルギニカは「バージニア州の」という意味ですが、実際は米国ノースカロライナ州からテキサス州、メキシコのヌエボ・レオン(Nuevo León)州とタマウリパス(Tamaulipas)州までの広い地域に自生しています。
根茎と葉の間はなにもないようですが、実は非常に太く短い茎のある種類です。葉と花茎は根塊から、いわゆるコーデックスから出ています。
肉厚の緑色の葉には、赤紫色の斑点がありますが、この株は葉表にはほとんど見られず、葉裏の付け根近くに多く出ています。
この斑点が見事な株は「品種ティグリナ(forma tigrina)」という学名のような名で流通しているようです。
十分な降水量があれば、初夏から晩夏にかけて、高さ60cmほどの花茎を出します。
花序には10~60個の花が密集して咲きます。披針形の托葉から出た短い花柄の先に、薄茶から緑色の細長い蕾をつけ、先で6裂します。
花披片は開かず(反り返らず)、筒状のままで、開いたかどうかわからないまま、薄茶から黄色の大きな葯と長い花糸の雄しべは花から突出します。
特に夜間、花には甘いフルーティーな香りがし、受粉仲介に蛾が果たしていることがわかります。
NARGSから手に入れた種子を2017年に播いて今年花を付けたので4年かかっていますが、普通は2〜3年で咲くようです。
その後直径1~1.5cmの球形の莢を稔らせます。
1753年にリンネさんがアガベ属のAgave virginicaと命名しましたが、1883年に米国の植物学者ジョセフ・ローズ(Joseph Nelson Rose:1862-1928)さんがマンフレダ属に移しました。その後2009年にAPG III分類でマンフレダ属はアガベ属に包括され、元の名に戻されました。
アガベというは属名はリンネさんがギリシャ神話の女神アガウエー(Agave)から命名したと言われています。
なお元の名のマンフェレダは14世紀のイタリアの作家マンフレドゥス・デ・モンテ・インペリアリ(Manfredus de Monte Imperiali)さんに因みます。